日時 2019年6月29日(土)開演14:00(開場13:30)※アフタートークあり
会場 豊中市文化芸術センター
出演
野村誠(音楽)、砂連尾理(ダンス)、佐久間新(ダンス)
巖埼友美(ヴァイオリン、日本センチュリー交響楽団)、吉岡奏絵(クラリネット、日本センチュリー交響楽団)
i-dArt(from 香港)、たんぽぽの家アートセンターHANAメンバー

公演に寄せて |野村誠
現代音楽とコンテンポラリーダンスの分野でそれぞれユニークな活動を続ける野村誠、砂連尾理、佐久間新による音楽とダンスの新作。香港の障害者福祉施設Jockey Club Rehabilitation Complex(東華三院賽馬會復康中心)に滞在し、i-dArt(愛不同藝術)の利用者と共におこなった創作活動をベースに「音楽」と「ダンス」、「リーダー」と「フォロワー」、「障害」と「個性」、「香港」と「日本」などの既存の枠を越えた多様な世界を舞台化します。

昨年、香港の福祉施設JCRC(東華三院賽馬會復康中心)に、アーティスト・イン・レジデンスとして、招かれた。3ヶ月間、施設の中で障がいのある方々と数多くの音楽プロジェクトを行った。そこで、出会ったコトバが、「問題行動」だった。福祉の文脈で「問題行動」とみなされることが、アーティストからは創造行為に見えることがしばしばある。だから外部からアーティストを招聘するのだ、と副施設長のメーリンさんは言う。問題だと思っていた行為の見方が変わる、とのこと。
なるほど、創造的なアート活動と問題行動は紙一重だ。歴史上も、先駆的な試みは理解されずに、「問題行動」だとブーイングを浴びてきた。ナチスは「退廃芸術」として前衛芸術を「問題行動」として規制したし、スターリンも「形式主義」としてショスターコーヴィッチなどの前衛を「問題行動」として規制した。
こだわりを大切にする人は、下手をすると「問題行動」というレッテルを貼られてしまう。JCRCの個性的な利用者たちと向き合った3ヶ月は、ぼくの人生にとって変えがたい時間だった。安易な楽しさに同調せずに、自分の気持ちに正直に生きる姿に、ぼくは心底共感したし、勇気づけられた。そんな体験を、砂連尾さん、佐久間さんという日本屈指の問題行動ダンサーがダンスにする。どんなダンスになるのだろう?
香港から、マコトバンドのメンバーが駆けつけ、たんぽぽの家のメンバーも、日本センチュリー交響楽団の音楽家も参加してくれる。でも、単なる祝祭ではない。みんなに協調し場の空気を読むのではなく、こだわりすぎてヨソモノになる。でも、全員がヨソモノで、全員が「問題行動」だったら、誰も排除されない。そんな「問題行動ショー」。(野村誠)

主催 豊中市市民ホール指定管理者
助成 公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団

公演映像

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